当院の透析室の統計調査
年齢動態
国内におけるでは透析患者の平均年齢は68.8歳(平成30年度末)で、年々高齢化してきています。当院においては令和元年度末で平均年齢74.8歳と更に顕著です。
患者様および家族との定期的な面談や歩行能力の維持・運動の習慣化を目的とした透析中のリハビリは「通院透析および在宅生活を維持する」
ために非常に重要なことだと考えて理学療法士の指導のもと積極的に実施しています。
腎性貧血
●原因
- (1)腎障害に伴うエリスロポエチンの産生低下
- (2)鉄・葉酸・ビタミンB12・亜鉛欠乏
- (3)慢性炎症、悪性腫瘍
- (4)透析不足
- (5)二次性副甲状腺機能亢進症
●症状
心不全症状(疲労感、動悸・息切れ)、低血圧症状(めまい・立ちくらみ)、その他(むくみ、頭痛、注意力低下など)
●治療
適切な
ESA(赤血球造血刺激因子製剤)・鉄剤の投与
当院では、日々の血液検査値より患者様ごとに適切な造血剤の量を考え、安定した貧血管理を目指しています。
●参考
(日本透析医学会「慢性腎臓病患者における腎性貧血治療のガイドライン2015年度版」より)
ヘモグロビン(Hb)値の管理目標値
目標Hb値:10g/dL以上12g/dL未満を推奨
二次性副甲状腺機能亢進症
●原因
- (1)尿中にリンが排泄されないことによる、血液中のリンの蓄積
- (2)腎不全による活性型ビタミンDの不足
●症状
- (1)骨からカルシウムが溶け出ることによる骨密度の低下(骨折)や血管の硬化(心筋梗塞・脳梗塞・足の虚血など)
- (2)全身のかゆみ・イライラ感・貧血
- (3)骨からカルシウム・リンが溶け出ることによる血管の石灰化
- (4)貧血
●対策
リンを多く含む食材に注意しながら充分なカロリーの摂取を心がける
*高齢の患者様にとって、体重の増加を気にすることで食事量が減り、栄養不足になることはリンが高いことよりも良くないことがあります。
●治療
- (1)食生活・便通などに応じた適切なリン吸着薬の内服
- (2)ビタミンDの内服薬・注射薬
- (3)カルシウム受容体作動薬の内服・注射
- (4)手術(副甲状腺摘除術)
●参考
(日本透析医学会「慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常の診療ガイドライン」より)
血清リン、補正カルシウム濃度、副甲状腺ホルモンの管理目標値
- (1)血清リン(P)濃度の目標値:3.5~6.0 mg/dL
- (2)血清補正カルシウム(Ca) 濃度の目標値:8.4~10.0 mg/dL
- (3)副甲状腺ホルモン(iPTH)の目標値:60~240 pg/mL